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浦和地方裁判所 平成3年(ワ)666号 判決

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

理由

第一  請求の趣旨1の本訴各請求について

一  請求原因1の各事実は、当事者間に争いがない。

二  同2(本件専用使用権の発生・期限)について

1  本件駐車場が区分所有者の共有となる共用部分であることは、当事者間に争いがない。

2  本件専用使用権の発生時期・期限について検討する。

《証拠略》によれば、次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 朝日住建は、昭和六二年一一月ころから本件団地の分譲を開始し、同六三年一月ころまでに売買契約を完了し、右契約に先立ち原告ら購入者に対し、重要事項説明書、売買契約書及び本件規約を交付した。売買契約書では、一条に「乙(買主)は「管理規約」及び「使用細則」等を承認のうえこれを買い受けた。」との記載があり、また、重要事項説明書9(4)及び売買契約書五条<3>に「駐車場については、別途定める「駐車場使用契約」を締結した区分所有者のみが、有償にて専用使用できる」旨、本件規約九条二項には「駐車場の使用については、別に定める「駐車場使用契約書」により有償で使用できる」旨各記載され、原告らが本件団地を購入する際、駐車場の使用者となるためには、別途本件契約書を取り交わすことが予定されていた。

(二) 平成元年二月五日朝日住建主催の入居説明会兼駐車場抽選会が開催され、その際「駐車場抽選方法について」と題する書面(甲九号証)が右抽選に参加した人に配付され、同日、当選者には、駐車場当選証明書が配付され、右各書面に「本証明書は駐車場使用契約締結時に確認書類として必要となりますので大切に保管願います。」との記載があつた。

(三) 同月ころ、朝日住建から本件団地の管理を委託された訴外日本ハウズィング株式会社(以下「日本ハウズィング」という。)から右当選者に、「駐車場使用契約書ご記入のご案内」と題する書面(乙一八号証・「契約期間は鍵引渡し日から一年間」との記載がある。)が配付され、同年三月中旬ころ本件団地の各区分建物の鍵の引渡がなされ、そのころから同月下旬にかけ、本件契約書が右当選者に渡され、当選者は入居の際本件契約書に署名・押印して、管理を代行した日本ハウズィングに渡した。本件契約書には、使用期間として、不動文字で「平成元年 月 日から平成2年 月 日」、四条三項に「使用期間満了の一ケ月前までに甲(管理者)または乙(区分所有者)から何らの申出がないときは、本契約は一年間同一条件をもつて更新されるものとする」、九条に「使用期間満了によつて本契約が終了した場合、乙は無条件にて直ちに使用駐車場を明け渡さなければならない。」との各記載がある。

以上の事実によれば、区分所有者らの売買契約書、重要事項説明書、本件規約には、いずれも駐車場の使用については、別途定める駐車場使用契約を締結した者のみが有償で専用使用できるとの規定が置かれているのであるから、原告らとしては、平成元年二月中旬から下旬ころ(鍵の引渡を受けた後)原告らが本件契約書に署名し、管理者に同契約書を渡した時に本件契約が成立し、駐車場使用権が発生したと解するのが相当である。原告らは、抽選に当選したときに契約が成立したと主張するが、右当選時には本件契約をなしうる資格を取得したに過ぎず、また、後記のとおり、契約内容は、本件契約書により最終的に決定されるというべきであるから、右当選時においては、当選者は未だ本件契約上の駐車場使用権を取得していないといわざるを得ない。

なお、前掲各証拠から、鍵の引渡時から賃料が発生する旨の約定があつたことが認められるが、賃料債権の発生時を特約により契約締結時より遡及させることも可能であるから、右認定を左右するものではない。

また、本件専用使用権の期限について検討すると、前記のように乙一八号証の「駐車場使用契約書ご記入のご案内」では、契約期間は、鍵引渡日から一年間との記載があるほか、本件契約書には、使用期間は一年であることが書面で明確に示され、本件規約上では、駐車場専用使用権については、九条二項に「駐車場の使用については、別に定める「駐車場使用契約書」により有償で使用できる」とあるほか、駐車場専用使用権の内容を直接規定する条項はないことが認められる。これらのことを考慮すれば、駐車場専用使用権の具体的内容(期間・賃料等)は、原則的に管理者側と区分所有者との間の本件契約書で決定されるものというべきであるから、原告らが本件契約によつて得た本件専用使用権の期限は一年であり、双方から異議がなければ更新されるという性質のものであると考えるのが相当である。

なお、原告鈴木雅志(以下「原告鈴木」という。)及び同福井竜彦(以下「原告福井」という。)は、重要事項説明等の際、朝日住建の従業員が、本件駐車場はずつと使えるとか、抽選に外れると空きがでるまで使えない等述べた旨、また抽選の際、朝日住建の従業員は、使用期間が一年であることは告げなかつた旨供述し、朝日住建の従業員である高橋雅志も重要事項の説明の際には「駐車場に当選した人は、管理組合が条件・方法を改定しない限り「ある程度一生使える」旨説明した。」と供述している。

しかしながら、仮に右のような事実があつたとしても、そのことは、朝日住建の従業員において本件駐車場の専用使用権の具体的内容が契約によつて決定されることを看過したか又は誤解に基づく説明であつて、先に認定したように、本件契約書によつて最終的な駐車場使用の契約内容が決定されると認められる以上、前記認定を左右するものではない。また、原告鈴木は、本件契約書の使用期間一年というのは、賃料等の条件の見直し期間であると思つた旨供述するが、前掲各証拠に照らすと、右一年の期間が、使用期間を定めたものではなく、賃料等の条件の見直しにとどまるものとは到底解せられず、本件契約を合理的にみる限り、契約内容として、右一年の期間は、使用期間が満了した場合、更新されなければ明渡し義務を負うという意味での使用期間のことであることは明らかである。

したがつて、この点の原告らの主張は理由がなく、失当である。

三  請求原因3の各事実(二回総会決議、三回総会各決議があつたこと)は、当事者間に争いがない。

四  請求原因4(一)(二回総会決議及び三回総会第五号決議が規約の変更にあたり無効)について

1  本件規約を変更するには、同規約四六条二項一号、区分所有法六六条、三一条一項により、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議が必要であることは当事者間に争いがない。

2  そこで、本件駐車場に関して、二年の使用期間を定め抽選制を導入することが規約の変更にあたるかについて検討する。

(一) 前認定のとおり、本件駐車場の専用使用権の内容(使用期間・賃料等)は、本件契約書で決定されるというべきである。

この点に関し、原告らは、本件規約一〇条四項の規定から、原告らの本件契約に基づく駐車場使用権が解約権の制限された相当の長期間継続するものであることを前提として、本件規約九条二項により本件契約の本質部分は本件規約の内容をなしていると主張するが、原告らの本件契約に基づく駐車場使用権はそのような解約権の制限されたものとは認めることができないことは、後記(二)、(三)のとおりであるから、原告らの主張は、その前提を欠き相当でない。その他本件規約九条二項により本件契約の本質部分は本件規約の内容をなしているとの原告らの主張は、その根拠が明らかでなく、むしろ、本件規約は、本件専用使用権の内容を本件契約書に委ねているとみるのが相当であるから、右主張は採用できない。

(二) また、本件規約一〇条四項は「区分所有者がその所有する住戸部分を第三者に貸与した場合でも、その貸与の期間が三年未満の場合は当該駐車場の専用使用権は消滅しない。」と規定しているが、その趣旨は、本件規約一〇条二項(所有する住戸部分を第三者等に譲渡又は貸与したときは、専用使用権は消滅する旨規定)の原則に対し、転勤などのため住戸を一時的に貸与した場合を想定して、その便宜を図るために例外を設けたに過ぎないものであつて、あくまで住戸部分を貸与した場合の本件駐車場の専用使用権の消滅の例外を規定したものであることが規約一〇条の全体の内容から明らかである。したがつて、同条四項で「三年未満」と規定したからといつて、当然に本件駐車場の専用使用権が三年を越えて長期間存続するとの前提に立つていると解することはできない。

(三) そうすると、本件規約九条二項、一〇条四項は、本件専用使用権について存続期間を定めたものとは到底認められないから(右各条項が、本件専用使用権は管理組合側の解約権が制限された期限の定めのないものであると規定したものではないことはいうまでもない。)、二回総会決議及び三回総会第五号決議は、右規約各条項の変更にはあたらないというべきである。

したがつて、請求原因4(一)は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

五  請求原因4(二)(二回総会決議及び三回総会第五号決議が本件規約四六条五項に反し無効)について

本件駐車場の専用使用権について、二年の期限を定め抽選制を導入する旨の二回総会決議及び三回総会第五号決議がなされたこと並びに本件規約四六条五項の規定内容については、当事者間に争いがないところ、前記四2のとおり、二回総会決議及び三回総会第五号決議は、本件規約の変更にあたらないから、規約の変更を要件とする本件規約四六条五項が適用される余地はない。

したがつて、請求原因4(二)は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

六  請求原因4(三)(抽選制を使用細則の変更という形式で定めた各決議は無効)について

1  規約の変更は特別決議、使用細則の変更は四六条一項の普通決議とされていること及び本件規約一一条の規定内容については、当事者間に争いがない。

2  確かに、規約事項と使用細則事項との区別は、その決議要件の違いから、一般的には規定事項の重要性の差異によるものといえよう。しかし、本件規約上、使用細則事項について権利の得失に関する定めは規定できないというように限定する規定はなく、本件規約一一条後段も、共用部分等の使用にあたり、使用細則を遵守すべき旨を規定するのみであり、使用細則では使用方法に関し定めることができるだけであると解する根拠はなく、むしろ規約に違反せず使用に関連するものであれば使用細則で規定できると解するのが相当である。そして、本件専用使用権の期限については、前記のとおり本件規約は本件契約書の決定に委ね、他にこれについての特段の規定を置いていないから、本件使用細則によつて、一般的に本件専用使用権の期限を二年とし抽選制にする旨規定することは、本件規約に抵触しないというべきである。

なお、原告は、本件専用使用権が期限の定めのない半永久的なものであることを前提として、抽選制の導入は、権利の喪失に関する重要な定めであるから、規約で定めるべきであると主張するが、前記のとおり本件契約に基づく原告らの専用使用権の存続期間は一年であると認められるから、原告らの主張は、その前提を欠き、失当である。また、抽選制の導入については、駐車場契約者の選定に係わる事項であるから、集会の決議により定めることが最も公平であり、これを規約改正という方法で行わないとしても何ら違法ということはできない。

3  以上より、請求原因4(三)は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

七  請求原因4(四)(二回総会決議及び三回総会第五号決議は「共用部分の変更」にあたり無効)について

1  本件規約四六条二項二号及び区分所有法一七条一項で、「共用部分の変更」には同条項所定の特別決議を要すると規定されていることは、当事者間に争いがない。

2  本件規約四六条二項二号の「共用部分の変更」とは、区分所有法一七条一項の「共用部分の変更」と同一の規定であるから、本件駐車場の専用使用者の決定について二年毎の抽選制を導入することが、同条項の「共用部分の変更」にあたるか検討する。

同条項の「共用部分の変更」は、同法一八条一項の「共用部分の管理」に対する概念であり、「共用部分の変更」とは、その形状又は効用を著しく変えることであり、「共用部分の管理」とは、「変更」に至らない程度の利用・改良に関する行為であると解するのが相当である。ところで、《証拠略》及び前掲二2各認定事実によれば、本件契約は、管理組合と使用者との賃貸借契約と解され、本件駐車場の専用使用権の期間は一年間であり、期間満了一か月以上前に管理組合又は区分所有者のいずれか一方から異議があれば右契約は更新せず終了するものであることが認められる。そして、二年毎の抽選制の導入は、使用期間を二年とし、更新の制度をなくした賃貸借契約の内容の改定であるから、共用部分の効用を著しく変えるものではなく、共用部分の利用に関する行為とは言えても、「共用部分の変更」にはあたらないというべきである。

この点、原告は、二年毎の抽選制の導入は、解約権の制限された期限の定めのない重大な権利である本件専用使用権の剥奪となると主張するが、前認定のとおり、本件専用使用権の内容をそのようなものと解することはできない。

3  以上によれば、請求原因4(四)は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

八  請求原因4(五)(三回総会各決議は、違法・無効な二回総会決議を前提としているので無効)について

1  《証拠略》によれば、被告の三回総会は、二回総会とは独自に、招集手続、議案の提出、討論、議決がなされたことが認められる。

そうだとすると、三回総会各決議は、二回総会決議とは独立した別個の手続でなされたものであるから、三回総会各決議の効力は、原則として同総会の議事手続のみを資料として判断すべきであり、仮に二回総会決議に議事手続の違法があり同決議が無効であつたとしても、三回総会各決議の効力に影響を及ぼすものではない。

よつて、請求原因4(五)は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

2  なお、仮に、二回総会決議の効力が、三回総会各決議の効力に影響を及ぼすとした場合、二回総会決議の効力について検討する。

(一) 請求原因4(五)(1)(可決数の不足)について

(1) 普通決議としての可決数が、本件規約四六条一項、区分所有法六六条、三九条により「出席組合員の議決権の過半数」であること及び右二回総会において議長に議決権行使の委任状が出されていることは、当事者間に争いがなく、《証拠略》によれば、本件規約四四条は、総会成立の定足数について、委任状提出者も出席者に含めていること、同四五条四項は、組合員は代理人によつて議決権を行使できるとしていることが認められるので、右「出席組合員」とは、委任状提出者を含むと解するのが相当である。

(2) 《証拠略》によれば、二回総会決議において、議長に議決権を委任した者が少なくても一五五名いたこと、議長に議決権を委任した者については議案に賛成するものとして議決権を行使することが、予め理事会において決められていたこと、当日、金森健議長は、議案採決の際、委任状出席者が何名いると言つた上、議長に議決権を委任した委任状出席者の賛成分を含め過半数の賛成により可決した旨宣言したこと、しかし、二回総会議事録には現実に出席した者の賛成・反対数のみ記載されていること等が認められる。

もつとも、原告鈴木は、二回総会決議において、金森議長は委任状出席者の議決権行使をしなかつた旨供述するが、右供述は、前掲各証拠に照らし、採用できず、他に請求原因4(五)(1)の事実を認めるに足りる証拠はない。

(3) したがつて、金森議長は、少なくとも委任状出席者の一五五名について、議案に賛成の議決権を行使したと認めることができるから、本件契約書及び本件使用細則の各改定の議案について、「出席組合員の議決権の過半数」の賛成があり、これにより適法に可決されたということができる。

(二) 請求原因4(五)(2)(議決権のない者の参加)は、これを認めるに足りる証拠がない。

(三) 請求原因4(五)(3)(議長の不当な誘導に基づく決議)について

《証拠略》によれば、二回総会の第二号議案その3の決議前に、宇津呂公子の夫が請求原因4(五)(3)記載のような発言をしたことが認められるが、右発言を契機に、金森議長が不当にこれを利用して、組合員の判断を右議案に賛成する方向に誘導したことを認めるに足りる証拠はない。

(四) 以上によれば、二回総会決議の議事手続を違法として、同決議が無効であるということはできないから、仮に、二回総会決議の効力が、三回総会各決議の効力に影響を及ぼしたとしても、これにより三回総会各決議を無効とすることはできないから、請求原因4(五)は、理由がない。

九  請求原因4(六)(臨時総会招集権を奪われたための議案提出の不公正さ)について

1  原告らを含む組合員が、駐車場抽選制の導入を規約変更で行うことの決議を求める臨時総会の請求をしたこと、右臨時総会招集請求を取り下げたこと及び被告理事会が第三回総会において駐車場抽選制導入を普通決議で行うことを提案したことは、当事者間に争いがなく、右事実と《証拠略》によれば、原告らを含む組合員が、平成三年三月一四日ころまでに、臨時総会招集の請求をし、これに対し当時の被告理事長笹本真敏が、駐車場の抽選制を規約に盛り込んだ議案を三回総会に提出する旨の議案書を示したこと、そこで同総会開催(同年五月二六日)も間近かであつたこともあり、原告らは右請求を取り下げたこと、被告理事会内では、当初駐車場抽選制を特別決議を要する規約改正事項として議案を提出することに決まつていたが、その後将来的問題等を考慮して駐車場抽選制を規約に盛り込まない方向で議案提出することに方針変更をしたこと、三回総会では質疑討論がなされた上で駐車場抽選制を細則で決定する旨の決議がなされたこと等が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

そして、右認定事実によれば、臨時総会招集請求後二か月足らずで三回総会が開催され、かつ、同総会において臨時総会が開催されたのとほぼ同様の質疑討論がなされたということができるから、被告理事会の背信行為によつて、臨時総会招集権が奪われたとまでいうことはできず、他に請求原因4(六)の事実を認めるに足りる証拠はない。

2  したがつて、請求原因4(六)は、理由がない。

第二  請求の趣旨2の本訴請求について

前記のとおり、原告らと被告の間で、平成元年三月ころ本件契約が締結され、原告らが、本件専用使用権を取得したことが認められる。しかし、原告らの本件専用使用権の期限は一年間であり、その後は双方に異議がなければ更新されるというものである。ところで、前認定のとおり、平成二年五月二〇日に二回総会決議が適法に可決され、駐車場使用契約期間は二年、使用契約者の選定は抽選によると定められたことにより、既に右時点において、原告らの本件契約に基づく駐車場使用の継続については、管理者側から異議を述べたと同視し得る状態にあつたことは明らかである。そうすると、原告らの本件契約に基づく本件専用使用権は、遅くとも翌年の平成三年三月末までには終了したとみるほかない。さらに、平成三年五月二六日に三回総会各決議が有効になされ、《証拠略》によれば、同総会において、第五号議案(その4)「平成三年度敷地内駐車場専用使用者選定抽選実施要綱」(同抽選を同年六月一六日行い、同月三〇日に同駐車場の専用使用者は駐車場を明け渡す旨規定している。)が適法に可決されたこと、右第五号議案の決議に基づいて「駐車場抽選の申込みについてのお知らせ」と題する書面(乙二三号証の一)が、同年五月ころ本件団地各区分所有者に配付されたことが認められるところ、右書面の配付は、本件契約書四条三項所定の更新に対する管理者側の異議の申出にあたるから、これによつても、遅くとも本件契約の使用期間の満了時である平成四年三月ころには、原告の本件専用使用権は消滅していることは明らかである。

したがつて、請求の趣旨2の本訴請求は、理由がない。

第三  結語

以上の次第で、原告らの本訴請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩谷 雄 裁判官 豊田建夫 裁判官 島田尚登)

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